病気解説

帯状疱疹

急に肌がピリピリと痛がゆくなってくる、帯状疱疹という病名を聞いたことがありますか?
帯状疱疹は、体のかゆみや痛みをともなう病気で、日本人の6人に1人の割合でかかると言われている病気です。

帯状疱疹とはどんな病気か?

水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染では水痘(みずぼうそう)になりますが、いったん感染して体内に入ったウイルスは、知覚神経を伝わって三叉神経節や脊髄の神経節の細胞に感染し、その中に隠れてしまいます。
体の中にしっかりとした免疫力がたっぷりとあればこのウイルスたちは悪さをしてきませんが、潜伏感染していたウイルスが何らかの誘因で、再活性化して発症するのが帯状疱疹です。

このウイルスが再活性化されると神経節内で増殖し、知覚神経を通って表皮に達し、表皮細胞に感染しそこで更に増殖して、赤い丘疹や水疱が神経の走行に沿って帯状に出現します。

ほとんどの人が、感染してから3~5日で皮膚の表面に赤い発疹が見られるようになり、これが帯状疱疹の初期症状で、さらに症状が進行すると、その後1~2日で水膨れができます。
症状があらわれる経過や発疹のあらわれ方には、人それぞれ個人差がありますが、痛みをともなうだけでなく、かゆみをともなうこともあります。中には、ほとんど痛みやかゆみがない人もいます。

帯状疱疹の症状

臨床症状と経過で容易に診断できることが多いですが、時に虫刺され、接触皮膚炎、単純ヘルペス、水痘、自己免疫性水疱症、熱傷などの疾患との鑑別を要することがあります。

中にはほとんど痛みやかゆみがない人もいますが、症状としては大きく4つに分類されます。

  • 皮膚に赤い発疹がみられるが、とくに痛みや「かゆみ」が出ない
  • 皮膚に赤い発疹が出て痛みがあるが「かゆみ」がない
  • 皮膚に赤い発疹が出て「かゆみ」があっても痛みはない
  • 皮膚に赤い発疹が出て「かゆみ」と痛みの症状をともなう

症状が進行するとかゆみから痛みに変わることもあります。体のかゆみだけならともかく、痛みの症状は深刻です。帯状疱疹の皮膚の「かゆみ」は、他の皮膚病と比べて感覚が少し違っており、かゆみとともに、なんとなく皮膚がピリピリするような痛みが感じられるのが特徴的です。

帯状疱疹になりやすい人

帯状疱疹は免疫が低下すると発症する疾患です。
水痘罹患や水痘ワクチンを接種してVZVの抗体を持ったものの約20%が罹患すると云われいます。10~20歳代は、一般的には小さいころに水疱にかかり、10代で免疫力が急激に低下することで起こりやすくなります。これはウイルスを抑え込むだけの力が足りないのが大きな原因とされています。

また、50~70代の高齢者で帯状疱疹になりやすいのも、年齢的な理由で「体力、疲れ」が原因で免疫低下が起こってしまうのです。季節的には決算期、連休後、お盆後、12月の暮れなど疲労が重なる時に多くみられ、毎日の食事が栄養不足だったり、タバコ、暴飲、疲れ、睡眠不足などが続くことで、免疫力も低下します。他にもストレスがかかったりすると急激に免疫力も低下するといわれています。

帯状疱疹は体のどこにできるか?

帯状疱疹の場合、体の片側にできやすいとされています。しかも胸やお腹、背中にできやすく、下半身はできにくいとされています。どうしても神経節、脊髄から伸びてウイルスが発生するために、胸元周辺にできやすくなります。

帯状疱疹の治療

早めに治療すれば完治しますが、症状が進行してからでは治りが遅くなり、治療に長い期間を要することになります。

赤い発疹が出た後に水泡ができて、さらに症状が進行すると濃疱となり、ただれてかさぶたができます。赤い発疹が出たあとの痛みは、人によっては4~5日も続くことがあり、次第に赤い発疹が薄くなり、3週間~1カ月程度で治ります。発症してから2週間ぐらいがもっとも痛みがひどくなる時期で、中には夜も眠れない人もいます。

三叉神経第一枝領域(前頭部・前額部)に発症した場合や、ウイルス血症から水痘のように全身に水疱が播種状に出現した場合は、ウイルス性髄膜炎合併のリスクが高くなります。

鼻背や鼻翼に水疱を形成した場合をハッチンソン兆候と言い、三叉神経第一枝(眼神経)の枝である鼻毛様体神経が犯され、眼合併症(ぶどう膜炎・角膜炎)を来す可能性が高くなります。

耳介やその周囲に水疱を形成した場合、聴神経の障害により眩暈・耳鳴が、顔面神経の障害により顔面神経麻痺(ラムゼイ・ハント症候群)に注意が必要です。

臀部下方や外陰部に水疱を形成した場合、稀であるが仙髄に影響が及び、膀胱直腸障害(排尿障害・尿閉・便秘)を来すことがあります。

また、まれに特徴的な発疹を生じずに脊髄炎を起こした例や、歯槽骨の壊死・歯の脱落が発生することもあります。

通常、皮膚症状が治まると痛みも消えますが、その後もピリピリとした痛みが継続することがあり、これを帯状疱疹後神経痛と言います。これは急性期の炎症によって神経に強い損傷が生じたことで起きます。急性期の痛みは皮膚の炎症や神経の炎症によるが、帯状疱疹後神経痛は神経の損傷によるものなので、痛みが残った場合は、ペインクリニックなどでの専門的な治療が必要になる場合もあります。

皮膚症状が重症な人、眠れないほどの痛みがある人、または高齢者ほど後遺症が残るリスクが高く、早期の治療が望まれます。

帯状疱疹で注意すべきこと

この病気に関しては、患部を冷やすのは逆効果です。
外傷ではなく神経の病気であるため、冷やすとかえってウイルスの働きを助長します。温湿布・カイロ等で温めるのも良いです。
ただし、乾燥肌の人は温めると痒みが現れるため、やめておきましょう。

水疱(腫れ部分)が破れると緑膿菌やブドウ球菌などの化膿性疾患の原因となる細菌の2次感染が起こりやすくなる為、細菌による化膿を防ぐため、水疱は破らないよう注意しましょう。
また、入浴に関しては医師の判断が必要です。

帯状疱疹にかかったら、早めに専門医の診察を受けて原因を調べて、入念な検査を行い、早めに治療を受けましょう。

気になる痛みや症状があったらお気軽にご相談ください

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